新聞記事の見出しやその文章の中には、「成语」(chéngyǔ)つまり四字熟語もしくは四字以上の熟語がよく用いられています。
どのような「成语」が使われているかで、時代や中国人の生活の変化を感じる事ができます。
レッスンの内容
違法な高層建築
最近、大都市のみならず各地で高層ビルや高層マンションの建設ラッシュが進んでいます。
そのおから工事や違法建設を表現するのによく用いられているのが、「空中楼阁」(kōngzhōng lóugé)と言う「成语」です。
この語を使った新聞記事の幾つかを見てみましょう。
バルコニーを住居に
Lùtiān xuánkōng yángtái biàn zhù fáng,rúcǐ “kōngzhōng lóugé”shǔ wéi jiàn
露 天 悬 空 阳 台 变 住 房,如 此 “空 中 楼 阁” 属 违 建
空中に張り出したバルコニーを居住スペースに変えてしまう、こうした空中楼閣は違法建築です。
重慶のある高層マンションの21階と22階の間に作られていた張り出しバルコニーが、住人によって勝手に個人の居住スペースに改造されてしまいました。
鋼材とガラスによって造られたこの部屋は約6平米あり、地上約66メートルに位置しています。市民はこの建物を「最も醜い空中違法建築」と揶揄しています。
正しくは何階建て?
Guīhuà liù céng gài le shíjiǔ céng,Xìnyáng shìmín wù mǎi“kōngzhōng lóugé”nán rù zhù
规 划 6 层 盖 了 19 层,信 阳 市 民 误 买 “空 中 楼 阁” 难 入 住
計画では6階建てなのに19階建てを建設。騙されて買わされた信陽市民はこの空中楼閣に入居できず。
2012年10月、35万元(約700万円)で契約書を交わして19階建てマンションの9階の一室を購入することにした趙さん。
当時建物はすでに完成しており、不動産業者の話ではローンの手続きなども含めた諸手続きを経て、翌年の5月1日に入居できるとのことでした。
それで趙さんは安心して頭金11万元(約220万円)を支払いました。
【違法な建築】
待つこと約半年、心待ちにしていた5月1日になり、趙さんは不動産業者に部屋の鍵と処理済みの書類の引き渡しを求めました。
ところが手続きが完全に処理できていないので、7月まで待ってくれるように、7月になれば必ず入居できると保証するからと言われました。
【入居日は延びに延び…】
その後、部屋の入居日は7月から10月1日、2014年の元旦、5月、7月、10月…、と延期され続け、最終的に不動産業者は趙さんが残りの24万元(約480万円)を全額支払えば鍵を渡すといってきました。
腹を立てた趙さんやほかのマンション購入者が調べたところ、この土地は本来六階建ての建造物の許可しか取っていませんでした。
それなのに19階建てのマンションを建て、しかも電気も水道も通っておらず、エレベーターも使えません。
【返金にも応じず】
趙さんは残りの支払いを拒絶し、逆に支払い済みの頭金の返還を要求しましたが、業者側は今すぐに返還するだけの現金が手元にないため、分割でしか返せないと開き直り。
何とも驚かされるニュースです。
空中楼阁の本来の意味
さて、この二つの記事で使われていた「空中楼阁」には由来となる古代のエピソードがあります。
由来
たいそう愚かな金持ちがおりました。ある日、友人宅を訪れますと、その屋敷は空中に突き出た三階建てで、何とも美しい景観です。
彼はそれを大層羨ましく思い、自分のためにも同じような建物を建ててくれるよう、当の三階建の屋敷を建てた大工を雇いました。
大工が一階、二階から建て始めているのを見て金持ちは言いました。「うちに一階と二階はいらない、空中に突き出た三階だけを建ててくれ。」
意味
この話に基づき、「空中楼阁」の本来の意味は「空中に造られた楼閣」、もしくは「蜃気楼」ですが、「実際には空想上の事物、現実味のない理論や計画」を比喩するためにもよく使われるのです。
Nǐ suǒ miáohuì de dōngxi,zài wǒ kàn lái shì kōngzhōng lóugé,gēnběn bù cúnzài。
你 所 描 绘 的 东 西,在 我 看 来 是 空 中 楼 阁, 根 本 不 存 在。
君が絵に描くものは僕の見るところ、実際には全く存在しない空想上のものだね。
Tā zhōngyú míngbái le,zìjǐ guòqù suǒ zhuīqiú de dōngxi,
他 终 于 明 白 了,自 己 过 去 所 追 求 的 东 西,
shíjì shàng shì kōngzhōng lóugé,jué bù kěnéng shíxiàn de。
实 际 上 是 空 中 楼 阁,绝 不 可 能 实 现 的。
彼は自分がこれまでずっと追い続けてきたものが、実際には架空の理論上のものであり、決して実現しえないものであることに遂に気がついた。
このように、本来のエピソードと現代の使われ方を比較しながら「成语」を学ぶのも一つの方法ですね。