北京は元、明、清の三代から現代に至るまで首都として機能してきた大都市です。
数ある北京の魅力の中でも、北京料理は北京旅行の楽しみだという方も少なくないようです。今回は北京料理についてほんの少しだけ垣間見てみましょう。
レッスンの内容
北京料理とは
北京料理「京菜(jīng cài)」は「京帮菜」(jīng bāng cài)とも呼ばれます。
中国北方の料理を基礎に各地の料理の特徴を吸収しながら発展してきました。
元王朝はモンゴル族、明王朝は漢族、清王朝は満州族が皇帝として北京から全国を統治しましたが、宮廷で供される料理のために、各地から腕の立つ料理人が招かれ料理の腕を振るいました。
つまり広い全土の美食がここ北京に集まってきたのです。こうして北京の料理は漢民族の料理にモンゴル族や満州族、さらにそれ以外の土地の料理法を吸収していったのです。
北京烤鸭
(Běijīng kǎo yā)
北京料理の中で最も特徴的なのは、恐らく北京ダック「北京烤鸭」でしょう。
Wǒ céngjīng tīng shuō guò,chī běijīng kǎo yā bìxū zài héshì de jìjié lǐ,
A: 我 曾 经 听 说 过,吃 北 京 烤 鸭 必 须 在 合 适 的 季 节 里,
jìjié bùhǎo zé yǐngxiǎng kǒuwèi,zhè dàodǐ shì shénme yìsi?
季 节 不 好 则 影 响 口 味,这 到 底 是 什 么 意 思?
私以前に北京ダックはそれに適した季節に食べなくてはならないと聞いたことがあります。季節が適していないと味に影響するそうですが、これは一体どういう意味ですか?
Yìbān lái shuō,dōng、chūn、qiū zhè sān jì chī běijīng kǎo yā qí wèi zuì jiā,
B: 一 般 来 说,冬、春、秋 这 三 季 吃 北 京 烤 鸭 其 味 最 佳,
yuányīn shì dōng chūn èr jì de běijīng yā,ròu zhì féi nèn;
原 因 是 冬 春 二 季 的 北 京 鸭,肉 质 肥 嫩;
qiū tiān tiān gāo qì shuǎng,wēndù hé shīdù dōu tèbié shìyí zhìzuò kǎo yā,
秋 天 天 高 气 爽,温 度 和 湿 度 都 特 别 适 宜 制 作 烤 鸭,
ér cǐ shí de yāzi yě bǐjiào féizhuàng。Xiàjì qìhòu yánrè,kōngqì shīdù jiào gāo,
而 此 时 的 鸭 子 也 比 较 肥 壮。夏 季 气 候 炎 热,空 气 湿 度 较 高,
cǐ shí de yā ròu shǎo biāo bó,zhìliàng jiào chà,kǒuwèi yě xiāngduì jiào chà。
此 时 的 鸭 肉 少 膘 薄,质 量 较 差,口 味 也 相 对 较 差。
一般的に冬、春、秋、この三つの季節に食べる北京ダックが最もおいしいと言われています。というのも、冬と春の北京鴨の肉質はよく肥えていて柔らかいのです。また秋は空高く気候が爽やかで、温度·湿度ともに北京ダックを作るのに特に適しています。しかもこの季節の鴨は比較的肉付きがよく肥えています。夏は気候がひどく暑くなり、空気中の湿度も高く、鴨の肉付きはあまり良くないうえに質も落ち、味もあまり良くありません。
涮羊肉
(shuàn yángròu)
涮羊肉とは羊肉のしゃぶしゃぶです。「羊肉火锅」(yángròu huǒguō)とも呼ばれます。
公元907年—1125年に中国北方を支配していた「遼」(辽 Liáo)という国がありました。
古代モンゴル系民族の一つ契丹族(契丹(Qì dān))が統治していましたが、その時代のある墓の壁画に幾人もの人が鍋を囲んで羊肉のしゃぶしゃぶをしている様子が描かれていました。
それほど古い歴史のある料理だという事ですね。
「烤牛肉」(kǎo niúròu)、「烤羊肉」(kǎo yángròu)とともに北方の少数民族の料理の名残といわれています。
【羊肉の効用】
羊の肉は体を温める働きがあるとされているので、とりわけ氷点下にまで気温が下がる冬になると北京の至る所で「涮羊肉」の店がにぎわいます。
「火锅」(huǒguō)を食べる時には、濃厚な胡麻ペーストに「腐乳」(fǔrǔ)と呼ばれる豆腐を発酵させて塩漬けにした調味料を混ぜ、それを水で時間をかけて丁寧に溶いたタレを作ります。
そこに刻んだ「香菜」(xiāngcài)を薬味としてたっぷり入れ、鍋で火を通した具材をそのタレにつけていただきます。
京酱肉丝
(jīng jiàng ròu sī)
「东北菜」(dōngběi cài)または「北京菜」(běijīng cài)に属する漢民族の料理です。
豚のヒレ肉を千切りにし、北方地方独特の料理法「酱爆」(jiàng bào)、つまり「黄酱」(huáng jiàng)や「甜面酱」(tián miàn jiàng)で甘辛く味噌炒めにしたものを、長ネギの千切りやキュウリの千切りと共に「饼」(bǐng)という薄い中華クレープに巻いて食べます。
宫保鸡丁
(gōng bǎo jī dīng)
漢民族の伝統的な料理で、材料は鶏肉、キュウリ、青ピーマン、落花生、赤唐辛子などです。それらを一口大に切って甘辛い醤油味で炒めています。
本来は山東省の「鲁菜」(Lǔcài)、貴州の「贵州菜」(Guìzhōucài)、四川の「川菜」(Chuāncài)など、各地でその特色を生かした味付けで食されていた料理です。
【清王朝時代の味が現代に】
清王朝の時代になって、四川の総督を務めた「丁宝桢」(Dīng Bǎozhēn)がこの料理を独自に改良しました。
そしてなんと、これがその美味しさゆえに世に広まり、宮廷料理に採用されるまでになりました。
その清廉潔白な官吏としての働きを称賛された丁宝桢は、亡くなって後「太子太保」(tàizǐ tàibǎo)という役職を賜りました。それを記念して料理の名前も「宫保鸡丁」となったのです。
【北京料理を食べてみよう】
ここにあげたのはほんのわずかのレシピですが、実際にはたくさんの北京料理があります。
メニューを見てもなかなかわからないものですが、一つずつ味わっていくのも楽しいかもしれませんね。