レッスンの内容
タクシーを利用する場合の表現
旅行で使える中国語のテキストで、比較的簡単な会話を学ぶことができます。
たとえば、宿泊したホテルから観光地に行くときに、タクシーを利用する場面。
多くのテキストで、以下のような会話事例が紹介されています。
「请到故宫去」
(故宮に行ってください。)
「明白了」
(わかりました。)
「到故宫,要多长时间?」
(故宮までどれくらいの時間がかかりますか?)
「十分钟左右」
(10分くらいです)
一見したところ、とてもスマートで、実用的な会話事例に思えますね。
文章も決して難しいものではありませんし、それでいて要領を得ています。
自分が行きたい目的地をはっきり伝え、所要時間を聞き出すことにも成功しています。
しかし、上記の会話が成立したところで、何の問題もなく目的地に着けるかというと、中国においては必ずしもそうとは言い切れません。
それはなぜでしょうか?
日本のタクシーと中国のタクシーは違う?
それは、「日本のタクシーと中国のタクシーは違う」からです。
中国ビジネスに関わる方々はよくご存知かもしれませんが、中国屈指の経済地区に深圳という地区があります。
日本をはじめ、諸外国の企業が数多く進出しているこの地区では、人の出入りも激しく、駅前のタクシー乗り場はつねに長蛇の列となっています。
駅から離れたオフィスや工場などに向かう場合、この駅前のタクシー乗り場でタクシーに乗り込むことになるのですが、これがたいへん勇気のいる「大仕事」なのです。
なぜかというと、運転手との価格交渉が必要になるからです。
日本のタクシーはメーターの走行距離をもとに料金が決まります。
中国のタクシーも、メーターを装備していますし、ほとんどのタクシー運転手は走行と同時にメーターを倒してくれます。
しかし、筆者の経験から申しますと、深圳や一部の地方都市では事情が違いました。
メーターがあるのに、それを使おうとしない運転手が数多く存在するのです。
さてそうなると、冒頭の問題が起こってきます。
何の問題もなく目的地に着けるか?
「上記の会話が成立したところで、何の問題もなく目的地に着けるか?」ということです。
メーターを使わない運転手に、「いったいいくら取られるんだ?」と、目的地までの道のりをビクビクしながら乗車することになるわけです。
これはたいへん心臓に悪い経験です。
そして、目的地だけを告げて、あとは何も言わずに乗車していると、まず間違いなくぼったくられます。
実際、筆者が勤めていた企業の中で中国語ができない日本人社員の方は、毎回相場の2~3割増のタクシー料金を支払わされ、会計係に注意されていました。
タクシーの値段交渉
つまり、中国の一部の都市においては、「トラベル中国語」にある「タクシーの乗り方」の会話事例が通用しないのです。
ちなみに、ビジネスパーソン向けに上記の会話事例を直しますと、以下のようになります。
「到○○地区的××工厂,要多少钱?」
(○○地区の××工場まではいくら?)
「六十块」
(60元だね)
「不会吧,上次我只支付五十块!」
(そんなバカな。前回は50元しか払わなかったぞ!)
こんな具合に値段交渉バトルを繰り広げ、運よく折り合いがついたら乗車→目的地到着となるわけです。
出張などで中国のタクシーを利用することが多いビジネスパーソンの方々、向こうの言い値でぼったくられないために、「ビジネスで使える中国語」と「価格交渉バトルに打ち勝つ度胸」を身につけてみてはいかがでしょうか?