中国の二十四節季を知る:夏の終わりから秋の始まりまで

    1. 中国歴史・民族

    よく天気予報で気象予報士の方が、「今日は二十四節季では○○という日になります。」とおっしゃっていますよね。
    今回は、その暦にまつわるお話をしましょう。

    中国の二十四節季を知る:夏の終わりから秋の始まりまで

    中国華北地方で一番体感的に暑いのは六月から七月

    中国の南の地方(南 方)nán fāngたとえば上海や香港などの夏と言えば、ねっとりとした蒸し暑さが特徴で、お店やホテルに入ると空調機器がガンガン効いています。

    「今 天 特 别 热 !」jīn tiān tè bié rè
    「今日は特別暑いね!」とか、

    「热 死 我 了 !」 rè sǐ wǒ le
    「暑くてたまらない!」

    というのがちょっとした挨拶の初めの言葉になったりします。

    それに反して、北京周辺を含む北の地方(北 方)běi fāngは夏でも湿気が少ないと言われており、少し地方へ行くと、大きな百貨店でも空調をつけるのはあまり好きではないようです。
    個人で自宅にクーラーをつけている家も、決して多くはありません。

    「クーラーをつける」というのは

    「开  空  调」kāi kōng tiáo

    「ここ、クーラーつけてますか?」と尋ねる時は

    「这 里 开 空 调 了 吗 ?」zhè lǐ kāi kōng tiáo le maと言います。

    中国の息を呑むような景色

    これは、我慢できるレベルであるともいえますし、電気代を節約しているとも言えますが、実際のところやはりどうしても暑くてたまらない夏日というのが、最低でも2~3週間はあるものです。

    「我 不 喜 欢 开 空 调。」wǒ bù xǐ huan kāi kōng tiáo
    つまりわたしクーラー嫌いなの。という人は結構いますし

    「我 怕 受 凉。」wǒ pà shòu liáng
    冷えるのが嫌だからという人も結構います。

    困るのはタクシーに乗る時です。
    北京や上海といった大都市ではそうでもないようですが、運転手主体でお客様の意向などまったく後回しという町だと、クーラーをつけてくれない事が多々あります。
    車内はボンネットが焼けてけっこう熱いですから、こっちはクーラーをかけて欲しいので、窓を閉めているタクシーを探します。
    やむなく窓を開けて走っているタクシーが来た場合に、目的地はともかくとして、

    「开 空  调 可 以 吗 ?」kāi kōng tiáo kě yǐ maと聞くと、

    無視されて乗車拒否なんてしょっちゅうです。
    それだけ、運転手のみなさんは自分の体に気を配っているという事かもしれませんね。

    さて、八月もはじめのうちは暑い日が少し続きますが、なんと2014年の立秋は8月7日。
    中国華北地方は確かにこの日を前後に一気に秋らしい涼しさになりました。
    その前日まで、毎日30~33度以上の暑さに寝苦しさを感じていたのがまるで嘘のよう。
    ひと雨降って、風が吹いたら、まあ涼しいを通り越して寒いくらい。
    一気に夜は17度前後になったところが多かったようです。

    余りの涼しさに、あくる日の朝はご近所さんとこんな会話をします。

    shàng zhōu tiān qì hái shi zhè me rè ,zhēn méi xiǎng dào ,jīn nián lì qiū yí
    「上  周  天 气 还 是 这 么 热 ,真 没 想 到 ,今 年 立 秋 一
    dào tiān jiù zhè me liáng kuài ,zhēn rang rén jīng yà le
    到 天 就 这 么 凉 快 , 真 让 人 惊 讶 了 !」

    紅葉に囲まれた日本の塔。先週まであんなに暑かったのに、思いもよらなかったわ、立秋がきたとたんこんなに涼しくなるなんて、本当びっくりさせられちゃった!

    日本で「今日は立秋です。」なんて言われても、まだまだそんな気配は全然しませんが、さすが二十四節季発祥の地。
    今年は暦の正しさが裏付けられた感じがします。
    二十四節季(「二 十 四 节 气」 èr shí sì jié qìとは簡単に説明すれば、一年を24等分して、季節を示すのに用いる中国伝来の語です。(参考:「広辞苑」)
    一年を十二の「中気」と十二の「節気」に分類し、それらに季節を表す名前がつけられています。
    中国の古代漢民族の農業労働者たちの長期にわたる経験と智慧の結晶であり、春秋戦国時代に形成されたもの、という説明もあります。

    この暦に基づいて、古代から農民はいつどんな農耕作業をするかを決めていたというわけです。
    それで中国独自の暦は「农 历」nóng lì(農暦いわゆる旧暦もしくは陰暦です)といいます。

    2 月中国旧正月ポスター。

    立秋は毎年農暦の七月一日前後となっています

    とはいえ、中国は国土が広いですから、すべての場所で同時に季節が進むとは限りません。
    それでも、この暦の感覚は中国人にとってなくてはならないものなんです。
    こうした暦と季節の移り変わりに合わせて、食材や栄養補給食材をこまめに変えていくのが彼らの健康法のひとつと言えます。
    つまり夏には夏なりの暑さ対処法があるわけです。

    たとえば、夏の庶民の味方の果物といえば西瓜

    中国ではいまでも、西瓜を大型トラックに山積みにして街角で売っているのが夏の風物詩です。
    地方都市だと西瓜の最盛期には一番安くて「1斤0.8元」(日本円になおすと500gあたり13.6円)ほど、言い換えれば250円前後も出せば10kg近い西瓜が買えます。
    西瓜には解熱作用と、熱中症の症状を和らげる働きがあるので、みんなどんどん買っていきます。

    また夏の暑い時の中国人が好んで食べるのが、「小 米 绿 豆 粥」(xiǎo mǐ lǜ dòu zhōu)(粟と緑豆のお粥)です。
    熱中症、暑さからくる喉の渇き、食中毒などの症状を和らげる効果があるからのようです。
    この菜に中国元素を加えて、三文と菜を加熱して作りました。ちょっと時間はかかりますが、作り方は簡単。

    ①鍋に洗った緑豆を入れ、たっぷりの水で火をかけます。
    ②沸騰してから弱火で40分煮ます。
    ③豆が柔らかくなったら、洗っておいた粟を加え、さらに30分ほど煮ます。
    ④粟が、花が咲いたように開いたら火を止め、氷砂糖を好みの量だけ入れます。
    ⑤冷めたらいただきます。(好みの濃度に調節してください。

    暑い夏に少し中国人の知恵を拝借して、胃袋を休めるのに最適です。

    中国の暦、今年はちょっと特別ー今年的农历有意思

    今年は1年が365日でないと言ったら驚くでしょうか?実は、陰暦では今年は384日なのです。普段あまりなじみのない陰暦ですが、中国では陰暦が日本よりもっと生活とかかわりを持っているような気がします。
    今年の暦はちょっと特別です。今年の特別をご紹介しましょう。

    liǎng tóu chūn
    两 头 春
    二つの春

    中国のお正月が春節であることはご存知ですね。陰暦では馬年の今年は陽暦の2014年1月31日から2015年2月18日までです。ところが、2014年の立春と2015年の立春はどちらも2月4日なのです。そうすると、陰暦1年の間になんと2回立春があることになります。

    shuāng chūn nián yí jiā qǔ
    双春年 宜嫁娶
    民間ではこのように言われ、お嫁に行くのもお嫁にもらうのもいい年だそうです。

    11

    婚活中のみなさん、今年はチャンスかもしれません。

    rùn jiǔ  yuè
    闰九月
    うるうの9月

    私達日本人は2月のうるう年にはなじみがありますが、うるう月と言われてもピンとこないですね。

    なぜこうなるかといいますと、陽暦は太陽の周期を基にしていて、太陽の周期は30〜31日なので1年が365日になるのですが、陰暦は月の周期を基にしているので周期が29〜30日、つまり陰暦には31日がないので、陽暦に比べ毎年何日か少なく、それで何年かに一度(だいたい3〜4年に1回)うるうの月を設けるのだそうです。

    今年は9月がうるうの月で、陰暦の9月がなんと2回あるのです。9月のうるうは今世紀は一回だけで、次回は2109年だそうです。9月生まれの人は2回誕生日がある、かな?

    12

    tiān 384天

    というわけで、へび年の去年より29日多くなります。

    それから、これは陽暦ですが、今年は4月以降のすべての偶数月にゾロ目の金曜日があります。

    2014/4/4
    2014/6/6
    2014/8/8
    2014/10/10
    2014/12/12

    カレンダーを見てみてください。これ、全部金曜日なんです。う〜んこれは何かのしるしでしょうか、吉の相か、凶の相か、はたまた単に数学的に計算するとちゃんとこうなるのか、いずれにしても今年はちょっといつもと違うミステリアスな年になりそうですね。

    夏を過ぎると今年も後半、月の美しい秋には東洋の天文学に思いを馳せるのも良いかもしれません。

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