中国で大学進学が困難な中卒が増加する理由とは?

    1. 中国経済・社会

    大学に行って、よい会社に就職し、安定した生活を送る。多くの親が描いていたこの人生成功ルートが、2021年に採用された新しい教育改革の法律で崩壊しそうなのです。

    どうして中国の子供は大学に行きたくても行けなくなるのでしょうか?

    中国で大学進学が困難な中卒が増加する理由とは?

    大学に行けない理由

    2021年8月に通知された双减政策shuāngjiǎnzhèngcè)という教育改革による影響について考えていきましょう。

    前回はこの政策により「宿題が激減して多くの 子供 たちは放課後に自由な時間ができるようになった」という影響を考えました。 子供たちは大喜びですが、親たちにとっては、子供が家で遊びだしたので、悩みの種となっているのです。

    しかしこの教育制度によって親がもっと頭を抱えているのは、次の2番目の影響です。

    búràngpǔwáshàngdàxué

    不让普娃上大学

    一般的な子供は大学に行けなくなった

    つまり普通の成績の子供は大学に行けなくなったので、親たちは頭を抱えているというわけです。どうして普通の成績の子供は大学に行けないのでしょうか?

    ある男性は、ケーブルを使ってバンドを書きました。

    少数精鋭

    中学生までの9年間の義務教育が終わると、生徒の選別が行われます。なぜでしょうか?

    zhǐyǒu 50%xuéshēngnéngshànggāozhōng

    只有50%学生能上高中

    半分の生徒だけが高校に行ける

    中国政府の新しい政策で、中学卒業生の半分しか高校に行けなくなりました。ほかの生徒は中卒で就職するか、职业学校zhíyèxuéxiào)といわれる職業訓練学校に通うしかありません。

    中卒の時点で生徒たちの半分は大学入学の夢を絶たれるのです。

    高校卒業時も

    同じ選別は高校卒業時にも行われます。普通高校を卒業する生徒の半分しか大学入学が許されないのです。その他の生徒は先ほどと同じコース、就職もしくは職業訓練校です。

    つまり中国で義務教育を受ける子供たちの1/4しか大学教育が受けられなくする、というのが今回の双减政策shuāngjiǎnzhèngcè)という教育改革の目玉でもあります。

    出来のいい子供たちを1/4に絞って高等教育を受けさせる。この教育方針は親たちにとっては大きな悩みの種です。なぜなら…

    yǒuqiányěméiyǒuyòng

    有钱也没有用

    お金があっても意味がない

    お金さえあれば何でもできるはずだった中国社会において、お金があっても子供の成績が悪いと高い教育を受けさせることができなくなったのです。

    そのうえ学校教育以外の塾で勉強させることも禁止されたので、子供の地頭で勝負するしかなくなったのです。

    地頭に恵まれない子供は、お金がある家に生まれても、中卒もしくは高卒というわけです。

    中国の卒業帽をかぶった本の山の上の貯金箱。

    背後にあるのは少子化対策

    今回は中国政府の大胆な教育制限について考えました。しかしそこまでの制限を掛けるのはなぜだと思いますか?最も大きな理由はやはり少子化対策でしょう。

    これまでの中国では、2人っ子政策に続き3人っ子政策までしたのに、中国国民はぜんぜん子供を産んでくれません。

    大きな原因は教育競争が加熱しすぎているので、教育費が高騰していたからなのです。「教育競争に政策でストップをかけてしまえば、子供を産んでくれるだろう」という計算なのです。

    この教育改革が今後の中国にどんな影響を及ぼすのかは何年かたってみないと分かりません。

    中国で義務教育の宿題が激減

    中国人の子供たちは日本の漫画やアニメを見て、いつも日本の子供たちが放課後に遊んでいる様子を見てうらやましく感じています。

    それは中国では大量の宿題で遊ぶ時間が全くないからです。しかしある政府の政策でそれも終わろうとしています。

    中国の教育改革

    中国は国家としての成長を促すために、様々な大改革を行ってきました。ふたりっ子政策もその一つでしょう。

    これまで教育面においては、中国は世界のトップクラスの学力を維持するために学力競争をあおってきました。

    しかしそれは子どもたちの大量自殺という結果を生むようになったのです。さらに学校以外に子どもの習い事を5つ以上させることが当たり前となり、親側の学費の負担増が生活を圧迫している家庭も少なくありません。

    そこで中国政府が長期的な発展を見て採用したのが以下の政策です。

    shuāngjiǎnzhèngcè

    双减政策

    宿題と学外教育の減少政策

    これはどんな政策なのでしょうか?

    双减政策とは?

    2021年に決まった政策のために、まだ双减政策shuāngjiǎnzhèngcè)相当する日本語は定まっていません。

    shuāng)つまり「2つのことを」、jiǎn)つまり「減らすための」、政策zhèngcè)つまり「政策」という意味です。

    具体的に何を中国政府が減らしたいかというと、学校の宿題(作业:zuòyè)と塾(补习班:bǔxíbān)です。

    加熱する学力競争は中国の歩むべき方向性と違っているという結論になりました。

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    新しい政策の影響

    急に打ち出された政府の教育方針の方向転換は、良くも悪くも大きな影響を及ぼしました。どんな影響があったのでしょうか?

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    1,孩子们有了更多自己时间

    子どもはたくさん自分の時間が持てるようになった

     

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    2,不让普娃上大学

    一般的な子供は大学に行けなくなった

     

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    3,不少人不能当老师

    多くの人が先生になれなくなった

    今回は1つ目の「子どもたちが自分の時間が持てるようになった」という影響を見てみましょう。

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    宿題の激減

    この政策により2021年から中国の小中学校の宿題が激減しました。それまでは家に帰ってから寝るまでしないと終わらないほどの宿題が毎日のように出されていたのです。

    それが新しい政策によって小学校低学年の宿題はゼロに。高学年以上も1時間程度の宿題と限定されるようになりました。

    子どもは今までできなかったゲームで遊ぶことや、漫画が見られるようになって大喜びです。

    親の反応は

    この政策で困ったのは子どもの親です。今までは子どもが帰ってきたら「宿題しないさい」の一点張りでよかったのに、それができなくなりました。

    1時間程度の宿題は学校ですでに終わらせてきた子どもたちに、宿題を強要させることはできません。

    親は家で遊び始めた子どもを見て、こんなことでは学力競争に負けてしまうと冷や汗をかいているのが現状なのです。

    これから変わっていく中国の教育

    現在は中国版「ゆとり教育」のような急な教育方針の変換に、中国の小中学校は対応に追われ、子どもたちの親もお金をかけて子どもに教育を強いていればよかった状況が変化し慌てています。

    しかし今後、子どもの自殺という問題は確実に減っていくことが期待できるでしょう。政策の変化が生じるときは対応するのが大変ですが、積極的な面に注目する必要がありますね。

    ※2021年12月の情報です。

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