古代中国の教訓を現代に伝える「臥薪嘗胆」を描いたドラマの魅力

  1. 中国ドラマ・アニメ

中国語を勉強するために中国で制作・放映されているテレビドラマを見るのは一つの方法です。

今回は日本でも使われている成語chéngyǔことわざ)、臥薪嘗胆の背景になった歴史を扱っているテレビドラマをご紹介しましょう。

古代中国の教訓を現代に伝える「臥薪嘗胆」を描いたドラマの魅力

卧薪尝胆の使い方

卧薪尝胆は約2400年前の故事にまつわる成語ですが、今でも新聞見出しや記事でよく使われています。一例を挙げてみましょう。

Jīngguò shí jǐ nián de wò xīn cháng dǎn,Zhōngguórén de dà fēijī mèng jíjiāng chéngwéi xiànshí。

经过 十 几 年 的卧 薪 尝 胆,中国人 的大 飞机 梦 即将 成为 现实。

十数年の辛苦艱難を経て、中国人の大型旅客機の夢がもう間もなく現実になろうとしている。

臥薪嘗胆を題材にしたテレビドラマ

臥薪嘗胆は中国語で「卧薪尝胆」(wò xīn cháng dǎn)です。

2007年には《卧薪尝胆》と《越王勾践》(YuèwángGōujiàn)という二つのテレビドラマが、また2013年には《英雄》(yīngxióng)が放映されました。

また中国古代の四大美女の中でも一番と称される西施XīShī)が重要な登場人物の一人です。

2003年制作の《西施传奇》(XīShīchuánqí)や2011年制作の《西施秘史》(XīShīmìshǐ)でも臥薪嘗胆の背景となった歴史故事が扱われています。

大きな岩を山に押し上げる中国の実業家。

臥薪嘗胆の時代背景

卧薪尝胆」は訳すと「薪の上に臥し、苦い肝を嘗める」となり、「仇を討つために苦心して闘志を励ますこと」、転じて「目的を成し遂げるために刻苦して自らを励ますこと」「将来の成功を期して長い間辛苦艱難すること」いう意味があります。

時代は紀元前5世紀の中国春秋時代末期、「越国」(Yuèguó)と「吴国」(Wúguó 呉国)が戦いあっていた時のことです。

この故事を最初にまとめた「史记」(shǐjì 史記)では「尝胆」の部分しか書かれていません。「卧薪」の部分はもっと後代の北宋時代の文学者が追加したもので、本来の物語には出てこないとされています。

主な登場人物とあらすじ

それまで何世代にもわたって争い続けてきた両国ですが、今回は「越王勾践」(YuèwángGōujiàn)が「吴王夫差」(WúwángFūchāi)との戦いに敗れ、講和を申し入れます。

夫差は講和を受け入れようとするのですが、部下たちは先の戦いで先王が勾践のせいで死に追い込まれたことを忘れてはならないとそれに反対します。

講和が受け入れられないなら、死に至るまで戦うのみと思う勾践ですが、忠臣の「范蠡」(Fàn Lǐ)は夫差の臣下になるふりをして再起を図るよう勾践に提案します。

降伏した勾践夫差の馬飼いになり、范蠡勾践の僕に身をやつして過ごすこと二年が経過します。やがて夫差勾践が心から自分の臣下になったのだと思い、彼を許して故国に戻らせます。

Gōujiànhuí guó hòu,shíkè bú wàng shòu rǔ de qíngjǐng,

勾践 回 国 后,时刻不 忘 受 辱的 情景,

tā zài zìjǐ de wū lǐ guà le yī zhī kǔdǎn,měi dùn fàn dōu yào cháng cháng kǔwèi,tíxǐng zìjǐ:

他 在自己的屋里 挂了一 只 苦胆,每 顿 饭 都 要 尝 尝 苦味,提醒 自己:

jué bù néng wàng le zài Wúguó de kǔnàn hé chǐrǔ jīnglì!

绝不 能 忘 了 在吴国 的 苦难和 耻辱 经历!

帰国した勾践は辱めを受けた情景を片時も忘れなかった。彼は自らの部屋に苦胆をかけ、食事の度にそれを舐めることで苦味を味わい、呉国での苦難と恥辱の経験を決して忘れてはならないと自らに言い聞かせた。

苦胆」は胆嚢だと言われています。胆嚢内部の液体は大変苦く、消化・殺菌・防腐の働きを持つ高価な薬として珍重されていました。

尝胆」は帰国後の勾践が自らを励ますための習慣から来ているのですね。

鮮やかな赤い背景にエレガントさをアピールする見事なアジア人女性。

絶世の美女-西施と郑旦(ZhèngDàn)

勾践の忠臣、范蠡と「文种」(WénZhǒng)は越国の再起のために幾つかの策を弄しますが、そのうちの一つが「美人计」(měirénjì 美人局)でした。

夫差が美人に弱いと知り、范蠡が見つけた絶世の美女、西施郑旦を含む8人の美女を呉国の宮廷に送り込んだのです。

夫差はこの貢物に大喜び。とりわけ西施郑旦を可愛がるのですが、西施に劣らぬ美貌をもち、踊りにおいては西施より秀でていた郑旦は、わずか一年ほどで亡くなってしまいます。

それを悲しんだ夫差は一層西施を大切にし、徐々に政をおろそかにするようになります。これこそ勾践が待ちかねていたタイミングでした。呉国に降伏してから約二十年後、勾践夫差との戦いに決着をつけたのです。

まとめ

これらのテレビドラマは物語の面白さだけでなく、絶世の美女である西施とそれに劣らぬとされた郑旦をどの女優が演じるのか、また范蠡西施の恋の行方にも関心が高まり、人気があるようです。

ストーリーの細かな部分は脚本によって違いますし、誰を主役に置くかによっても解釈が異なりますから、それぞれの作品を見比べてみるのも面白いですよ。

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