中国でビジネスを展開したいと思っても、中国政府により入国を拒否されることがあります。ビザが下りなかったり、今まで普通に入国できたのに急に入国拒否されたりという事例も増えてきました。
どんな理由で中国への入国が厳しくなっているのでしょうか?
レッスンの内容
習近平体制で変わった外国人の管理方法
日本人は以前では世界で最も歓迎される国民の一つでした。日本人のパスポート(护照:hùzhào)を持っていれば、世界中ほとんどの国にフリーパス、お隣中国も日本人であるというだけで信頼して様々なビザを発行してくれていました。
しかし近年では中国政府の方向転換により、急に中国への入国ができなくなる、もしくは国外退去扱いになるケースが出てきているのです。
それは習近平(习近平:xí jìnpíng)の採用した政策によります。国家外国专家局(guójiā wàiguó zhuānjiā jú)という外国人を管理する中国政府の機関を通して次のことが発表されました。
zhōngguó bǎ wàiguórén àn ABC fēnlèi
中国把外国人按ABC分类
中国は外国人をABCランク付けで分けている
最近は中国政府は日本人だけでなくすべての外国人を点数式のABCランクで分けています。そのABCランク付けでCランクがついている外国人は、中国に必要ではない人材という理由で排除されることが始まっています。
中国国家事情の変化
一昔前、中国は外国人を進んで国内に受け入れていました。なぜですか?
経済進歩のために外国の技術が必要だったからです。日本、ドイツなどの当時の先進国のパスポートを持っていれば中国政府は喜んでビザを発行し、ぜひ中国国内で商売をしてほしいと思っていました。
しかし現在中国はGDPは日本の2倍以上で、国力がついているだけでなく、技術力という点においても外国に引けを取らなくなりました。
つまり、中国内の国力だけで経済成長が可能になったのです。当然、外国思想を持ち込むリスクもある外国人を無駄に中国国内に滞在させる理由はなくなってきたというわけです。
ABCランクどのように?
現在のところAランクとBランクの人々は中国で安全に生活することができます。しかしCランクに位置付けられている人はその時々の中国国内事情によって、急に入国が制限されることがあるというわけです。
ABCランクはざっくり説明すると次のように分けられています
【Aランク…ハイレベル人材】
中国国家の明るい未来に貢献すると思われる優秀な人材。大手銀行の役人など。
【Bランク…専門人材】
国内の大手企業に就職している高学歴人材。
【Cランク…一般人員】
上記以外の外国人、技術と関係ないサービス業を行なう外国人人材
実はほとんどはCランク
Aランクの大手銀行といっても指定されているのは日本では三菱UFJ、みずほ、三井住友の3社のみです。国家政策で外国の博士などを中国の大学に呼び寄せることもあります。この場合もAランクが与えられます。
その他のAランク、BランクとCランクは点数制です。
まずは年齢で点数が決まります。26-45歳は15点です。28-25歳と46-55歳は10点となっています。
学歴でも点数が付けられます。博士号を持っているなら20点。修士号は15点。高卒は0点という感じです。
HSK(汉语水平考试:hànyǔ shuǐpíng kǎoshì)と呼ばれる中国語検定試験の成績も必要です。1-6級あるうちの5級以上を持っていれば10点与えられますが、4級なら8点、3級なら6点という感じです。
年俸(年薪:niánxīn)は高いほど点数が上がり45万元(700万円)以上なら20点、35-45万元(550万円以上)なら17点という感じです。5万元(80万円)以下の年収なら0点です。
勤務日数でも点数が加えられ、1年のうち9か月以上中国で勤務すれば15点加えられます。6か月を超えていれば10点という感じです。
勤務地(工作地点:gōngzuò dìdiǎn)によっても変化します。地方に住んでいれば10点加算されますが、北京や上海などの大都市に住んでいても加算されません。
【Bランクには60店以上必要】
上記の点数法に基づいて85点以上ならAランクになります。Bランクでも60点以上です。その他はすべてCランクという位置づけです。
つまり働き盛りの時(15点)に毎日のように中国で働き(15点)、高い年収を上げ(20点)たくさんの税金を中国政府に収め、地方経済発展に貢献して(10点)初めて60点到達です。
同じような働きをしていても46歳の人なら評価55点となりCランクとなるわけです。
急に中国に入れなくなっても驚かない
現時点ではCランクの人もほとんどは入国できていますし、どうにかビザの発行が認められているようです。
しかし今後状況が厳しくなれば、Cランクと言うだけの理由で入国させてもらえないという時代が来るかもしれません。
中国という国は厳しい管理を行なうことによって大勢の国民を統治できている国なので、そうなったとしても驚かないようにしましょうね。