以前の記事で、中国の大学は郵便局や銀行・病院などがあり、環境が整っていることについて触れました。雑居住宅もあり外部から自由に入ることもできました。
しかし状況は変化し、最近は中国の大学への進入が難しくなっているのです。
レッスンの内容
中国の大学に入るときの顔識別システム
中国では、ちょっと抜け道にという感じで自由に大学の中を通っていくことができました。大学食堂は安いので、外部からも節約したい人は自由に大学の中に入って、安くてボリュームがある学生食堂を楽しむこともできたのです。
しかし状況は変わり、中国の大学には全く自由に入れなくなりました。なぜならこれが設置されたからです。
dàxuéménkǒushèlìrénliǎnshíbié
大学门口设立人脸识别
顔認識システムが大学の入り口に設置された
これは以前触れた監視カメラシステムとは少し違います。監視カメラシステムは、町を歩く不特定多数の人を対象にしており、必要となった時に顔で判断して逮捕するシステムです。
大学の入り口に設置されているのは大学に入ろうとしている人個人を対象とし、その人がどこのだれかを明確に特定するためのシステムだからです。
大学の入り口で大学に入りたいと言うと、まず「何の目的か?」と聞かれます。その後顔認識システムの前に立ち、話した通りの人物かどうかが識別されるのです。

なぜ大学に自由に入れないのか?
それにしてもどうして中国政府は大学に不特定多数の人が入ることをこれほど嫌がることになったのでしょうか?2つほど理由が挙げられています。
jiāqiángxiàoyuánānbǎo
1,加强校园安保
校内の安全強化のため
shíxiànxuéshēngkètángkǎoqín
2,实现学生课堂考勤
学生の出席を管理するため
それぞれに顔認識システムがどれほどの効果がある見てみましょう。
校内の安全
守る相手は大学生です。考えてみますと小学生と違って、大学生はもっとも体力もある年代ですから、か弱い小学生たちを守るように目を光らせて守る必要はないでしょう。大学校内は外部からの侵入者による性犯罪などは起きにくい場所です。
さらに大学生はサラーリマンと比べるとお金を持っているわけではありませんし、体力もある大学生の財布を盗むのは失敗した時のリスクを考えると、効率的なことではありません。そう大学構内は泥棒たちにとっても活動しにくい環境なのです。
では顔認識システムで侵入者を厳しく管理することで何を守ろうというのでしょうか?
それは思想(sīxiǎng)です。大学生は今後の中国を動かす力があります。考えてみてください。日本においてもアメリカにおいても、革命運動はどこから起きましたか?そう、大学から起こりました。
中国政府が最も恐れる「国家転覆」(颠覆政府:diānfùzhèngfǔ)が起こりえる場所として大学が注目され、そこに余計な思想が入り込む余地を遮断するというのが、大学入り口での管理強化の主な目的のようです。
その証拠として、大学生は入学当初のオリエンテーションで、とりわけ長い時間をかけて注意を受けるのは、政治や宗教など思想を話すような人との会話です。

出席確認
大学入り口での管理強化の主な目的は「思想管理強化」なのですが、同時に効率的な出席確認を行なうのにも一役買っています。
誰が大学に来ており、誰が来ていないのかシステムデータを見ればすぐにわかるのです。学校が生徒たちの成績管理をするのにも役立つわけですから、親たちを含め中国国民がこのシステムの導入にも賛成してくれるでしょう。
管理強化のメリットデメリット
こうした中国の管理強化について情報に触れると「やっぱり日本がいいなぁ」と感じるかもしれません。しかしこうしたカメラ監視システムなどの強化のおかげで、16億もの国民が一つにまとまり秩序が保たれているともいえるのです。
日本は管理されるのが嫌いな国民性です。マイナンバーカードなどの新しいシステムにも時間がかかりました。ですが管理強化がなされるときはデメリットだけでなく、メリットの部分も考えると受け入れやすくなるということですね。