この一言は最近まで中国の大病院に大きく掲げられていた広告文句です。日本人は最初は何のことが分かりませんが、この意味を知るとちょっとゾッとします。
病院でどんなことが行われるのでしょうか?
レッスンの内容
意味深な病院広告
中国の病院のほとんどは私立病院です。よってお客に来てもらい、医療を受けてお金を払ってもらうことによって運営が成り立っています。そのためお客が行きたいと思うような宣伝文句を大きく病院の壁に掲げます。
中国語の下記の広告は人寄せのためによく見かけるものでした。
měige xīngqīsì tuījìn jìhuà shēngyù rì
每个星期四推进计划生育日
この中国語の直接の意味は主題の一言「毎週木曜日は計画生育称賛日」と言っているのです。
この一言は外国人は最初よく分かりませんが中国人は意味が分かり、必要な時にはこの病院に行きたくなります。どういう意味なのでしょうか?

堕胎推奨日
計画生育(计划生育:jìhuà shēngyù )というのは中国政府が推奨していた一人っ子政策のことです。もしも二人目を妊娠したら基本的に堕胎(打胎:dǎtāi)しなくてはいけませんでした。
いまはふたりっ子政策となりましたが、やはり3人目を身ごもったらやはり堕胎しないという原則は変わりません。
上記広告の推进(tuījìn)という中国語は「推し進める」「後押しする」という意味になります。
つまり上記の広告で言いたいのは「毎週木曜日はお手頃に堕胎ができるよう病院としてもリーズナブルな価格で応援しますよ」という意味なのです
常にある堕胎の需要
中国では最近まで一人っ子政策がひかれていました。よって二人目ができてしまったときの堕胎は心が痛むことではありますが、中国ではかなりの人が経験することです。
さらに中国の大学では今や自由恋愛は盛んになりました。これはまだ結婚準備が整っていないので堕胎する必要が多くなったことも意味します。
いろいろな事情で堕胎の需要は多いので、病院としてもできるだけ多くの堕胎を行なうのもひとつのビジネスとなっています。
それでも堕胎はデリケート(敏感:mǐngǎn)な話題なので、オブラートに包まない国、中国でもあれだけ回りくどく(委婉:wěiwǎn)「計画生育称賛日」と表現しているのです。
政府の後押し
少子化に悩む日本では地方として子どもを産んでくれたら出産育児一時金として30-50万円ほど支払う制度もあるのですが、中国は真逆です。
許されている子どもの数以上産んだら罰金(罚金:fájīn)です。大体罰金は一人の子供あたり20-30万元(300-450万)にもなります。お金持ちしかたくさんの子供を産めないというわけです。
できれば人口抑制したい中国の地方政府は、日本とは真逆の政策で、子どもを堕胎してもらうためにこのような推奨金を出しています。
shēngyù yī hái hòu , bànlǐ fàngqì zài shēngyù , kěyǐ jiǎnglì
生育一孩后,办理放弃再生育,可以奖励2000。
一人目が生まれた後、子育てを諦めてくれたら奨励金2000元差し上げます
都市によって差はありますが、ある都市では、二人目以降、堕胎を選択すれば奨励金として2000元(3万円)補助すると地方政府が保証してくれるわけです。

文化の違いと理解
かたや子どもを産んだら奨励金、かたや子供をおろしたら奨励金と国によって全く違うものです。これは文化の違いでしょう。
中国では子どもを産むことが文化として奨励され、美徳とされているので、国の政策として抑制するしかないというわけですね。
それぞれの国の文化を理解すると、日本とは違うことも理解できるというものです。