中国語の文法は日本語と比べると簡単ですが、それでも日常会話で思ったことを表現するのは難しいと感じることがあるでしょう。
今回は中国語でよく登場する「把」(bǎ)の使い方を見ていきます。
レッスンの内容
「把」の意味と使い方
「把」(bǎ)というのは簡単に言うと日本語の「~を」という助詞です。日本語では修飾する目的語の後に「を」という助詞が来ます。
例えば「わたしはこの本を読み終わった」という風に「この本」という目的語の後に「を」という助詞が来るわけです。ですが中国語だとどうなりますか?
wǒ bǎ zhè běnshū kàn wánle
我把这本书看完了。
这本书(zhèběnshū)の 这(zhè)は「この」という意味、本(běn)は「本」という意味ではなく本という名詞につく量詞、书(shū)が名詞の「本」という意味です。つまり这本书(zhèběnshū)で「この本」という意味になります。
助詞の「把」(bǎ)はどこについていますか?
そう、「この本」という目的語の前についているのが分かるでしょう。助詞は常に後につくのに日本人は慣れているので、この助詞が目的語の前に来るパターンに慣れる必要があります。

似ていないようで似ている
このように日本語と違う使い方に接すると、中国語は難しいと感じるかもしれません。しかし、実は日本語と中国語はとても似ている言語です。共通点を見つけると覚えやすくなるでしょう。
実は「把」(bǎ)の使い方は日本語にも存在します。例えば「この本を読みなさい」という言葉を地方の年配者はどう表現するか考えてみましょう。
この本ばよみんしゃい。(九州の方言)
他にも、北海道でも、「ラーメンば出前取ってみるべ」という言うこともあるようです
つまりこれら日本語の口語の「ば」は中国語の「把」(bǎ)と発音も意味も全く同じです。もしかしたら以前中国から伝わった言い方が残っているのかもしれません。興味深いですね。
「把」構文の注意点
日本語の「~を」という意味で仕えるのですが、2つだけ注意点があります。
bǎ de bīnyǔ shì shuōhuà rén xīnmù zhōng yǐjīng quèdìng de
1、”把”的宾语是说话人心目中已经确定的。
「把」の目的語は話し手によって既に確定されている。
2、”把”字句的动词一定带有处置或支配的意义。
「把」文章の動詞は処理や支配の意味を持つ
今回は1つ目の「把」構文を使うときの注意点だけを見ていきましょう。
「把」を使うときはすでに対象は特定されている
注意点の一つ目は、把の対象はすでに確定されているという事です。例えば日本語では「何かを飲む」という風に特定されていないものにも「~を」を付けることができますが、中国語ではできません。
中国語では必ず「このコーヒーを~」とか、「あの机の上のペンを~」という風に「把」を使うときは対象が明確に決まっているのです。
言い換えると、特定のものではないものには使えないのです。
例えば「わたしはコーヒーを飲んだ」などは、どのコーヒーがいまいち曖昧です。ですから「把」は使えません。
wǒ bǎ yìbēi kāfēi hē le
我把一杯咖啡喝了 ←間違い
ではどう言ったらいいのでしょうか?
wǒ hē le yìbēi kāfēi
我喝了一杯咖啡 ←正しい
わたしは一杯のコーヒーを飲んだ
「把」構文が使える場合
似たような文章でも、対象が特定されている場合は使えます。例えば
wǒ bǎ nà bēi kāfēi hē le
我把那杯咖啡喝了
わたしはあのコーヒーを飲んだ
「あのコーヒー」と対象が確定されているので「把」構文が使えるわけです。

中国語の文法は使って覚える
こうした中国語の文法は難しいと感じるのは当然ですが、慣れてしまえば簡単です。覚えるための一番良い方法は何だと思いますか?
そうネイティブの先生相手に使ってみることですね。正しい文法で表現すると中国人も満足します。
次回は「把」構文の2つ目の注意点に注目しましょう。