中国にはたくさんの方言があります。中国出張になって感じる不安は「自分が勉強してきた北京語(普通话:pǔtōnghuà)は北京以外の場所でも通じるのだろうかという点かもしれません。
それでは、北京語はどれほど中国国内で通じるのでしょうか?
レッスンの内容
中国方言の違いは大きい
まずは中国の地方方言がどれほど北京語と違うかを見ていきましょう。北京語と地方方言言語の違いは、東京弁と大阪弁の違いどころではないのです。
上海の方が話す方言、上海话(shànghǎihuà)や、広州や深セン、香港の方が話す广东话(guǎngdōnghuà)は日本語と韓国語くらいの違いがあるといっても過言ではありません。
よって北京語だけを勉強して、それら方言が強い区域に出張に行くと、地元の方が普段使っている方言はおそらく全く聞き取れないでしょう。
しかし心配ありません。中国出張に行く人はどの場所に行くとしても、北京語だけを勉強しておけばいいのです。
北京語の浸透度
中国出張になった時、方言の強い上海でも、深センでも、四川語という方言がある内陸都市の成都でさえも北京語だけ勉強していけば、何の問題もありません。
理由を3つ挙げましょう。
diànshìtái zhǔ chírén dōu yòng
biāozhǔn de pǔtōnghuà
1,电视台主持人都用标准的普通话。
テレビ局のキャスターはいつもきれいな北京語を話している
zhōngguózhèngfǔ tuīdòng
rénmínyòng Běijīnghuà
2,中国政府推动人民用北京话。
中国政府が国民に北京語を話すように勧めている
yǐjing shàngbānzú jīběn
shan gdōuhuì shuō pǔtōnghuà
3,已经上班族基本上都会说普通话。
すでにサラリーマンのほとんどは基本的に北京語が話せる
北京語さえできれば、何の問題もないこれらの理由を分析してみましょう。
中国全土でいつも聞かされてる北京語
家でテレビをつけた時だけでなく、バスに乗った時も地下鉄になった時も、あらゆる生活シーンで中央台(zhōngyāngdiànshìtái)のニュースが流れています。
「今日は習近平がドイツを訪問した」などの国際ニュースだけでなく「重慶観音橋に吉野家進出」などの地方ニュースも、すべてニュースキャスター(台主持人:diànshìtáizhǔchírén)によるきれいな北京語で伝えられます。
普段使うのは地方の方言でも、中国全土のテレビから流されてくるのは北京語なので、中国全土にいる人は子どもから老人に至るまで、自分では北京語が話せなくても、北京語を聞き取れます。
つまり中国出張の場所がどこになったとしても、北京語さえ話していれば、中国人すべてに自分の意思を伝えることができるというわけです。
中国政府の教育成果
中国政府は小中高大学のすべてで「学校内では北京語しか話してはいけない」と定めています。
今の若者たちは、すべて学校の国語の授業で北京語を学んでおり、学校だけでなく、親と会話するときも北京語で会話するという家族も少なくありません。北京語が話せないおじいちゃんおばあちゃんとだけ地方の方言を使う子どももいます。
方言が強いと言われる地方都市も10年前と比べると、普段の生活でも北京語を話す人が増えてきました。街中で流れている宣伝も北京語ですし、地方都市でイベントがあるときも司会者がつかうのは方言ではなく北京語だからでしょう。
北京語だけを勉強しても大丈夫なのだろうかと心配する必要がないどころか、何十年後かには地方言語は消滅するかもしれない危機に直面しているのです。
サラリーマンの会話はすべて北京語
今や中国のサラリーマン(上班族:shàngbānzú)は、ビジネス会話では北京語を話すのが礼儀となっています。
中国企業には様々な地方都市から社員が集まります。会社内の一部の人たちがその土地の方言で話すと他都市の社員は理解できないので、ビジネスマナーとして北京語を話すのが暗黙の了解なのです。
北京語を勉強すればすべてよし
上記3つの理由により、中国国内のどの都市に行くにしても、北京語、つまり中国語の普通語だけを勉強すれば何の心配もいりません。
むしろ外国人である日本人が地方言語を話しているほうが怪しいので、ビジネスのために中国語を学びたい場合は上海語や広東語などを勉強する必要はないでしょう。