中国北部では冬になると「暖气」(nuǎnqì)という温水循環都市型セントラルヒーティングシステムが稼働します。
それと同時に大気汚染が一層顕著になります。暖气は様々な社会問題を引き起こしていますが、その一つが市民の訴える健康面での不快な症状です。
空気質量指数を見て予防
Web上の気象ニュースでは各観測地点の「空气质量指数」(kōngqìzhìliàngzhǐshù 空気質量指数)が掲載されています。
数値は0-50が「优」(yōu 優)、51-100が「良」(liáng)、101-150で「轻度污染」(qīngdù wūrǎn 軽度汚染)、151-200で「中度污染」(zhōngdù wūrǎn)、
201-300になると「重度污染」(zhòngdù wūrǎn 重度汚染)、301以上で「严重污染」(yánzhòng wūrǎn 厳重汚染)です。
PM2.5の測定値も発表されています。例えば2018年1月では、一番数値の悪い都市では232の重度汚染で、PM2.5の測定値は212μg/m3(マイクログラム・パー・立方メートル)となっています。
このレベルになると
Wèilejiànkāng zhuóxiǎng,gèwèi péngyou jǐnliàng jiǎnshǎo wàichū ba!
为了 健康 着想,各位 朋友 尽量 减少 外出 吧!
皆さん、健康のために、できるだけ外出は控えましょう!
とか、
Tiānqì yùbào tíxǐng nín:xūyào pèidài kǒuzhào,bùyí yùndòng,
天气 预报 提醒 您:需要 佩戴 口罩,不宜 运动,
jiànyì liú zàishì nèi,jiànyì guān chuāng。
建议 留 在 室 内,建议 关 窗。
天気予報からあなたへの注意です。マスクをする必要があり、運動すべきではありません。室内にとどまり、窓を閉めるよう提案します。
といった予防措置を講じるよう提案する標語が掲示されます。
日本のPM2.5の環境基準は1日の平均値が1立方メートル当たり35μg以下とされています。
健康への影響が現れる可能性が高くなると予想される濃度水準は、1日の平均値が1立方メートル当たり70μgなので、212μg/m3という数値がいかに深刻な状態を表わしているかお分かり頂けると思います。
具体的な症状の数々
【呼吸器系統疾病】
Měinián de shí yī yuè zhōngxún kāishǐ dōu shì hūxī xìtǒng jíbìng de bàofā qī,
每 年 的十 一月 中旬 开始 都是 呼吸 系统 疾病 的 爆发期,
gōngnuǎn shì yí dà yòuyīn。
供暖 是 一大 诱因。
Lǎonián rén yóuqí shì yì shòu nuǎnqì yǐngxiǎng de yí ge qúntǐ,
老年 人 尤其 是 易 受 暖气 影响 的一个 群体,
tāmen zài gōngnuǎn hòu róngyì chūxiàn bùtóng chéngdù de shēntǐ búshì。
他们 在 供暖 后 容易 出现 不同 程度 的 身体 不适。
毎年11月中旬になると始まるのがいずれも呼吸器系統疾病の流行期である。
暖房供給がその一大誘因である。老人はとりわけセントラルヒーティングシステムの影響を受けやすいグループであり、暖房供給の開始後、程度は異なるが体の不調が現れやすい。
【抵抗力の低下】
Nuǎnqì bìng,shì zhǐ dōngjì gōngnuǎn hòu,shìnèi wēndù shēnggāo、kōngqì gānzào、
暖气 病,是 指 冬季 供暖 后,室内 温度 升高、空气 干燥、
kōngqì bù liútōng děng wèntí,róngyì yǐnqǐ réntǐ dǐkànglì xiàjiàng,
空气 不 流通 等 问题,容易 引起 人体 抵抗力 下降,
yīncǐ róngyì chūxiàn kǒu gān、sǎngzi téng、késou、pífū gānzào děng jíbìng zhèngzhuàng。
因此 容易 出现 口 干、嗓子 疼、咳嗽、皮肤 干燥 等 疾病 症状。
セントラルヒーティング病とは冬季の暖房供給開始後に、室内温度の上昇、空気の乾燥、空気の流れが悪くなるなどの問題が人体の抵抗力の低下を容易に引き起こし、
それに伴って現れやすくなる口の渇きや喉の痛み、咳、皮膚の乾燥などの病気や症状である。
そのほかにも以下のよう症状が挙げられています。
*皮肤瘙痒(pífū sàoyǎng)-皮膚のかゆみ
*嘴唇干裂(zuǐchún gānliè)-唇のひび割れ
*鼻咽干燥(bí yān gānzào)-鼻と喉の乾燥
*头晕眼花(tóuyùn yǎn huā)-頭がふらふらして目がくらむ
*血液黏度高(xuèyè niándù gāo)-血液濃度の上昇
*尿量减少、尿路结石(niào liàng jiǎnshǎo、niào lù jiéshí)-尿の量が減る、尿路結石
予防のためには?
こうした症状を緩和、予防するための詳細な情報が病院や新聞、Webページなどで提供されています。
主に水をよく飲むこと、室内の湿度を保つために加湿器などを適度に利用すること、時々窓を開けて換気すること、皮膚の乾燥を避けるためにシャワーを浴びる際に石けんを使いすぎないことなどです。
最後に
厳寒の冬を気持ちよく過ごすために暖房はどうしても必要ですが、外に出れば空気が悪く、室内にいても乾燥しているために不快な症状が現れるというのはなかなか難しい問題です。
いろいろな対策が講じられ続けているので、今後どのように改善されていくのか興味深いですね。