世界では新語が次から次へと生まれています。時代の変化に伴って中国でも新たな言葉が生まれているのですが、大変なコロナ禍でひと笑い提供している新語が”全家捅”という言葉です。
レッスンの内容
一目見るとケンタッキーのファミリーバーレル
先ほどの新語はよくよく見ないと新語とは分かりません。元となった言葉と非常によく似ているからです。元となった言葉とはこんな言葉です。
quánjiātǒng
全家桶
全家桶(quánjiātǒng)は、世界的に有名なケンタッキー(肯德基:kěndéjī)の商品名です。日本語ではケンタッキーチキンのファミリーバーレルという名前で親しまれています。
お肉が大好きな中国人にも当然人気があるので、この単語は中国国民に浸透しています。
この全家桶(quánjiātǒng)から派生した言葉が主題の単語、全家捅(quánjiātǒng)です。

単語の違い
この二つの単語は一見全く同じで、発音も全く一緒なのですが、最後の桶(tǒng)と捅(tǒng)が、最初は木へん、あとのが手へんと若干違います。
桶(tǒng)は日本の漢字と同じく桶(おけ)を意味する言葉となります。全家(quánjiā)は一家を意味する言葉なので全家桶(quánjiātǒng)は「ファミリーサイズのケンタッキーバーレル」という事になるわけです。
捅(tǒng)の日本語読みは「トウ」ですが、日本語としてこの漢字を使うことはほとんどないでしょう。
中国語の捅(tǒng)には「突く、突きとおす」という意味があります。では全家(quánjiā)つまり「家族みんな」が捅(tǒng)「突きとおす」ことは何を意味するのでしょうか?
全家捅の意味することころ
全家捅(quánjiātǒng)は「家族がみんな突き通されること」という意味になります。
これは家族みんなが急に政府の検査機関から呼び出され、家族みんなで鼻からコロナウィルスのPCR検査(核算检查:hésuànjiǎnchá)を受けることを意味します。
鼻から検査棒を突き入れられるつらい思いを、家族みんなで味わうことを意味する新語というわけです。

大変な時にもユーモアのセンス
中国人は長い隔離が続き大変な中でも、ある意味こうしたユーモアのセンスで大変な時期を乗り切る力があります。
海外では長い間隔離が続いて、ごみ捨てとかPCR検査の時などやっと家から外に出ることができるという時に、コスプレをしたりする姿がニュースとなります。
じつは中国でもこのようなことをしている人は少なくありません。日本では人目を気にしてPCR検査の時にコスプレをするなどとてもできたものではないでしょう。
そう日本人は何事をするにしても真面目(严肃:yánsù)なのです。それが日本の長所でもありますが、世界的にみるとユーモアのセンスが日本にあったらいいのにと感じる人も少なくありません。
中国語で新ネタ探し
今回はちょっとした中国の時事言葉を考えました。こんな中国語のひとネタを知っていたら、中国人と雑談するときに盛り上がります。
ある程度発音と文法の基礎がつき日常会話ができるレベルになれば、中国語の新しいネタをという観点で中国語を勉強していくのもいいかもしれません。