日本は世界的に見ると自殺者が多い国です。G7つまり先進7か国の中では日本は常にトップの自殺率ですが、子供の自殺率に絞るとなんと中国が世界で最も多い国なのです。
なぜ中国で子どもたちの自殺が多いのでしょうか?
レッスンの内容
中国の競争社会
ゆとり教育(宽松教育:kuānsōngjiàoyù)で生徒間での競争をあおってこなかった日本と違って、中国は近年ますます学力競争が激化しています。
子どもたちからすると先生たちだけでなく親にも親族にも、会えば聞かれるのが成績のことで、頭がめいってしまいます。
40人クラスだとクラストップ(第一名:dìyīmíng)になれるのは1/40です。それなのに2位以下だと、親たちは不満足な顔をする風潮なのです。
頑張ったのに褒めてもらえずいつも怒られるので、精神的に弱い子が自殺したくなるのもわかるでしょう。
2020年に自殺が増えた理由
もともと子どもの自殺率が高かった中国ですが、コロナウィルスの影響で急に学習スタイルが変わったことが、さらなる自殺率の増加を引き起こすこととなりました。
楽しいこと・したいことがやっとできる
2020年の2月半ば、コロナウィルスで競争の場である学校に行かなくては良くなった子供たちは、苦しかった学力競争から突然解放されました。そしてつかの間の自由を味わいます。
ネットで授業を受けた後、親がいない子どもたちはやりたかったゲームができるようになったのです。
もちろん宿題はたくさん出されましたが、解放感のもと遊ぶ時間あり幸せな日々だったわけです。
5月に始まった学校の影響
中国でコロナウィルスもいったん落ち着いてきた5月初めごろ、衝撃的なニュースが中国全土を揺るがします。次のようなニュースです。
fùkèyǐlái , shànghǎishìyǒu 24 míngxuéshengtiàolóuzìshā
初三高三复课以来,上海市有24名学生跳楼自杀。
上海市で学生たち計24名が授業再開以降に飛び降り自殺
自殺の原因
大量の宿題
注目すべきは「学校再開(复课:fùkè)の時」に、命を絶った学生が24人もいたという点です。自殺した学生にはいろいろな原因があるようですが、一つ紹介しましょう。
ある9歳の女の子が自殺した原因は、以下のものだったと報道されました。
yīnwèiwúfǎànshíwánchénglǎoshībùzhì de zuòyè
因为无法按时完成老师布置的作业
期限までに先生が出した宿題が終わってなかったから
この子は自粛期間に大量に出された宿題をほとんどしてないことを、親から怒られると思いました。
親が会社から帰ってくる時間であろう午後6時に、自分が住んでいるマンションの15階から飛び降り自殺したそうです。
頑張っても褒めてもらえない
しかしその子の机の上にあった遺書から、自殺の原因が単に宿題が終わってないからだけでなく、その背景となる家庭環境がわかります。このような遺書がありました。
māmaduìbùqǐ , zhèshìwǒ de juédìng
妈妈对不起,这是我的决定。
ママごめんなさい。これが私の決定なの
wèishénmewǒgànshénmedōubùxíng
为什么我干什么都不行。
なんで私がすることすべてがダメなの?
学校再開に合わせて大量の子供が自殺した原因は、家でゲームばかりしていて過剰なほど出された宿題が終わってなかったことだけでありません。
そのうえ、頑張っても頑張っても褒めてもらえないあの苦しい学力競争をまたしないといけない、というストレスがあったようです。
学力向上の反動
中国では毎年2万人の子供たちが、毎年自分で命を落としています。いつもストレスを感じながら休めるはずの週末も習い事ばかりです。
日本の子供たちは、まだまだ子供らしく生きられるだけ感謝しないといけないですね。