人口の爆発的な増加を抑えるために中国が1978年から採用した一人っ子政策も2015年についに終了しました。
一人っ子政策が終了した今、中国国民は2人目の子供を作り始めているのでしょうか?
レッスンの内容
一人っ子政策とは
一人っ子政策(独生子女政策:dúshēng zǐnǚ zhèngcè)とは、中国が中国各地の人口をコントロールするために取られた计划生育(jìhuà shēngyù)という国の政策の一部として、採用された政策です。
「うちの家は一人しか子供を産みません」と宣言し、避妊手術を受ければ,学費や医療費などの優遇を国から受けることができました。
一人っ子の例外
日本人の中には知らない人が多いのですが、農村部など人口増加が必要な地域には一人っ子政策は適用されていませんでした。もともとある程度人口がある都市の人口を抑える目的で施行されていたのです。
さらに一人っ子政策が実施されていた都市部でも、お金持ちの家は、罰金(罚款:fákuǎn)さえ払えば二人目の子供を持つことができました。
これは興味深いことなのですが、2015年に一人っ子政策が終了する前であった2010~2015年の間、町中にある家族のポスターのほとんどに、なんと子供が二人描かれていました。
「二人子供がいる家族=うらやましいお金持ちの家族」という意味合いがあり、マンション販売などのポスターで好んで用いられていました。
政府も2人子どもがいる家族を描くのに反対していなかったようです。罰金を払うほど裕福になってもらえばその分税収入も増えて国も豊かになるからです。
2015年に一人っ子政策は終わり、ふたりっ子政策(二孩政策:èrhái zhèngcè)となりました。

ふたりっ子政策とその後
長年に渡る一人っ子政策が終わり、晴れて二人の目の子供が産めるようになりました。では子供を産むことが美徳とされる中国でいっきに子供の数が増加したのでしょうか?
いいえ、そうではないようです。ほとんどの家族は一人目の子供は産むものの二人目は作りません。それには次のような原因があります。
bù shēng èr hái de zhǔyào yuányīn shì jiàoyù fèiyòng tài guì
不生二孩的主要原因是教育费用太贵。
意味を見ていきましょう。
2人目を欲しがらないのは?
不生(bù shēng)というのは生まれるという言葉を不で否定しているので「産まない」という意味になります。二孩(èr hái)というのは「二人目の子供」という意味です。
最後の贵(guì)は貴重であるという意味ではなく「(価格面で)高すぎる」という意味になります。
つまり中国人も「二人目の子供を育てる教育費用が高すぎるのが、産まない主な原因」というわけです。日本と同じですね。
中国での教育費は?
大学を無事に卒業させるまでいくらくらいかかるのでしょうか?もちろん家庭によって差はあるのですが、平均は37万元と言われています。日本円にして570万円というわけです。
この額を知るとお金持ちの家庭以外は、二人目の子供を産むのを断念するようです。
さらに今の中国の学力競争社会を生き抜くには、普通の学費以外にいわゆる塾(补习班:bǔxíbān)に行かせて、頭一つ抜け出させる必要があります。
中国文化では子供が一人さえいれば近所にも、顔が立ちますし、一人目と違って、二人目を作るような圧力をおじいちゃんおばあちゃんも掛けてきません。
よってほとんどの家庭は一人っ子政策が終わっても二人目を作らないのです。

世界的に進む高齢化問題
国が発展すればするほど、教育費は上昇し子どもは少なくなり高齢化問題は加速するという問題は日本だけでなく、中国にも起きているというわけです。
競争社会加熱問題と少子化問題、同時に解決するのは難しいようですね。